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第7章 コンビニエンスストアの言語景観

7.6.文理学部周辺(世田谷区)の言語景観(赤岩樹穂)

7.6.1.調査概要

文理学部周辺にある4店舗の商品説明・免税サービス・トイレのピクトグラムに使用されている言語の種類と外国人店員の有無を調査し、その結果と世田谷区の在留外国人の数・地域性を照らし合わせ、世田谷区の言語景観の特徴を考察する。

7.6.2.調査結果

商品説明の例

写真3.セブンイレブン世田谷桜上水駅前店の商品説明

トイレのピクトグラムの例

写真4.ファミリーマート世田谷日大通り店のトイレのピクトグラム

今回調査した全4店舗で、商品説明・トイレのピクトグラム共に平均使用言語数は1言語であり、免税サービスの案内はされておらず、日本語表記しか扱われていなかった。なぜ世田谷のコンビニでは、日本語表記しか扱われていないのだろうか。

7.6.3.在留外国人の数からの考察

表2.在留外国人統計(東京都の人口(推計)トップページ-東京都の統計 より)

  総人口 在留外国人総数
新宿区 343972 42302(12%)
世田谷区 921932 19653(2%)

※2017年10月1日時点での統計
 ()…人口総数に対する在留外国人の割合

23区において、在留外国人の数が最も多い新宿区と比較してみる。新宿区は在留外国人の数が総人口の1割を超えており、多くの外国人が住んでいる街であると言える。世田谷区は、総人口は23区で1番多いが、その割に在留外国人の数は総人口が(世田谷区より)少ない新宿区の数にも及ばない。このことから、コンビニにおいても外国人客が少ないと考えられるため、多言語表記や免税サービスの案内をする重要度が低いのではないだろうか。

7.6.4.世田谷区の地域性からの考察

前項で、世田谷区が23区で最も人口が多いということに触れたが、日本人は多く世田谷区に集まるのに、なぜ外国人は世田谷区に集まりにくいのか、ネットで世田谷区について検索してみた結果、主に以下の5点が特徴として挙げられた。(世田谷区―Wikipediaより)

  • ・人口総数23区内1位(表 参照)、面積2位
  • ・23区の中では比較的都心から離れているが、交通弱者をつくらない工夫がされている
  • ・住宅街が多い 総世帯数47万2929世帯、うち外国人だけの世帯数1万842世帯 全体の2%(2017年9月時点)
  • ・私立の幼稚園から高校、公立の高校の数23区内1位 子どもを私立の学校に通わせたい親が多く集まる
  • ・環境や住環境を守ることに力を入れており、東京では珍しく閑静で緑が多い

これらの特徴は日本人にとっては魅力的に感じるのであろうが、外国人にとっては銀座や新宿のように多言語表記が進んでいる街のほうが暮らしやすく魅力的なのかもしれない。住宅街が多く、そもそも目立った観光地がないという点も、外国人が集まりにくい原因の1つであるだろう。世田谷区は“暮らす街”というイメージが強く、さらに日本人が多く暮らす街・暮らしやすい街となっているため、多言語対応はあまり進められていないのだろう。

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