注意喚起(万引き禁止や監視カメラ作動中など)における言語景観をみる。
大きいサイズの張り紙と商品付近にあるポップとを区別して調査した。
写真1.ココカラファイン茶沢通り店(ポップ)
写真2.くすりの福太郎銀座6丁目店(張り紙)
図3.張り紙の使用言語数
図4.ポップの使用言語数
(マ)…万引き禁止 (防)…防犯カメラ作動中 (買)…買う前に開けないでください
張り紙の平均使用言語数は
張り紙、ポップの区別なく、注意喚起の内容から使用言語数を比べた。
表7.内容ごとの使用言語
日本語 | 英語 | 中国語(簡) | 中国語(繁) | 韓国語 | ベトナム語 | 平均 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
買う前に開けないで | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1.5 |
防犯カメラ作動中 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 4 |
万引き禁止 | 7 | 5 | 5 | 0 | 2 | 3 | 2.7 |
平均を見ると、「買う前に開けないでください」という内容が特に使用言語が少ないことが分かる。日本語が一つも使われていない、完全に外国人に向けられた注意喚起だということがわかる。英語は世界共通語と解釈すると、外国人の中でも特に中国人の方に向けているのではないかと考えられる。「防犯カメラ作動中」という内容は、「買う前に開けないでください」と同じくサンプル数が2つであった。しかし、共通するのは日本語、英語のみで、その他二つは異なる二言語を使用し、平均は四言語と一番多くなった。「万引き禁止」という内容は一番サンプル数が多く、お店ごとに個性があることが分かる。
注意喚起というのは内容や形態により使用する言語に違いが大きく見られた。他の調査項目に比べ、目的が一つではなく内容によって異なるので大きな違いがみられたのだろう。特に、ポップに違いがみられたのは張り紙よりも内容に違いがあるからであろう。
注意喚起は商品案内掲示や免税のように、これからお客様に来ていただくことを目的にしたものではなく、実際の事例があってそれを今後防ぐため作るものであると考える。すると、注意喚起が多言語化しているということは、その地域の観光客の多さというよりも実際にその店舗を利用した外国人のお客様がいるという証拠になるのではないか。