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第5章 カフェから見る銀座の言語景観

5.4.メニューに見る洋菓子カフェの言語景観(王悦同)

5.4.1.調査結果

洋菓子カフェにおけるメニューを調査した。使用された言語数と種類を統計し、写真の有無と関連付け、また訪日外国人消費動向への調査のデータを引用し、関係性を考える。

表3.外国語表示のメニューに関する調査結果

  メニュー
中(簡) 中(繁) 言語数 写真
洋菓子カフェ  
9 Pour café(プルーカフェ) × × × × 2 ×
10 十一房珈琲店 × × × × × 1 ×
11 炭火焙煎珈琲カフェ.凛本店 × × × 3 ×
12 アメリカン × × × × × 1 ×
13 銀座トリコロール本店 × × × × 2
(一部あり)
14 マザーリーフ東銀座店 × × × × × 1
15 MIYUKI・KAN × × × × 2
16 ALMOND(アマンド)銀座店 × × × × × 1
17 銀座ウエスト本店 × × × × 2
合計 9 5 1 0 0 0 平均1.7 5

5.4.2.使われている言語数から考える

グラフ1.メニューで使用されている言語とその数

言語種類から見て、英語と日本語が多数だと分かった一方、他の外国語の対応がほとんど見られなかった。英語表記は最低限の外国語というよりかは、洋菓子カフェの西洋感を強調するのに相応しいデザインとして載せられた外国語表記と考えられる。また、メニューに写真があるので他言語で表示せずとも注文できるであろうという推測が可能だが、外国語が使用されていない店舗のメニューを再確認してみると、アマンド本店しか写真が付いていないことが明らかになった。そのため、メニューの他言語表記を行っていない店舗は、ほぼ同じくメニューに写真をつけなかったと言っても過言ではない。要するに、9店舗中5店舗に外国語のメニューがあり、外国語表記のない4店舗のうち、1店舗は外国語表記がされていないが写真が備わっているということが分かる。そのため、洋菓子カフェの中で外国観光客が利用可能なメニューは67%である。

5.4.3.使われている言語別に考える

グラフ2.言語の比率

・2017年訪日外客数(総数)(インバウンドらぼ):
国籍・地域別ランキング:中国735.6万・韓国714.0万・台湾456.4万・香港223.2万・アメリカ137.5万という人数の多い順で並んでいる。
・国籍・地域に見る2018年7~9月の消費の構成比(訪日外国人消費動向調査 日本政府観光局 JNTO):
中国が37.2%と最も大きい。次いで、台湾13.1%、韓国11.9%、香港7.7%、米国6.5%の順であり、これら上位5カ国・地域で全体の76.4%を占める。
・2017世界観光ランキング(コト消費ラボ)
訪日外客に関して日本は全国2869万人、世界ランキング12位に。東京を訪れた人は1,377万で、48%を占める。
・費目別にみる訪日外国人2018年7~9月旅行消費額(訪日外国人消費動向調査 日本政府観光局 JNTO):
買物代が32.6%と最も多く、次いで宿泊費(30.3%)、飲食費(22.3%)の順で多い。

少ないとは言えない外国人観光客に対し、世界共通語である英語をメニューに使うことが全体で33%を占める。それに加えて、国籍・地域に見ると東アジアからの観光客が圧倒多数であり、他言語化が遅れている。飲食費が旅行消費額の22.3%を占めているのを見ても、やはり販売業者のほうがきちんと対応していることは間違いないのであろう。

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