国文学科2年 坂口 慧
日常生活において、特定の地域でしか使われない言語(=方言)のうち、使用者たちがそれを標準語だと考えている、つまり、方言であると気づいていない言葉について、三川町方言調査によって三川町の方々の意識調査を行った。
「三川町面接調査」において、会話表現「ドゴサ」「シェバ」の使用に関する意識を調査した。それぞれ「どこに(行く)」「それならば」という意味の、三川町内で使われていることが確定している方言である。 それらの言葉について、「使うかどうか」「それを方言だと思うかどうか」「(方言だとしたら)どのくらいの範囲で使われている方言だと思うか」を聞いた。また、同じ意味の単語を知っているかどうかもたずね、前者と同様の質問を繰り返した。
調査対象者は80人。
15歳までの言語形成期までに三川町外住歴がなく、16歳以上にも外住歴のない人を
「純粋三川人」
15歳までの言語形成期までに三川町外住歴がなく16歳以上に外住歴のあるひとを
「準三川人」とし、
今回の調査分析では、この「純粋三川人」28人と「準三川人」36人を対象とした。
<純粋三川人の使用率>
<準三川人の使用率>
純粋三川人、準三川人両方を年代別に見た。年代は
若年層(~39歳)
中年層(~59歳)
高年層(60歳~)
に区分した。
<準三川人の方言に対する認識(年齢別)ドゴサ>
<純粋三川人の方言に対する認識(年齢別)ドゴサ>
<準三川人の方言に対する認識(年齢別)シェバ>
<純粋三川人の方言に対する認識(年齢別)シェバ>
シェバ、ドゴサ共に中年層に、「方言だと思わない」と考えている人が多いことがわかった。
また、「分からない」と答える人も、中年層に多く見られた。
年層を分けると中年層(40~60歳)に特徴が見られた。逆に、純粋、準三川人の違いは、単語の認識に際しては大きな違いは見られなかった。 また、「その方言はどこまで通じると思うか」という質問に対し、中年層に「東北地方全域」という回答が多く見られた。(選択肢は「三川町」「庄内地方」「東北全域」)これは、シェバ、ドゴサを方言と考えながらも、三川だけでない、広い地域の言葉と捉えていると考えられる。もちろん二つの質問に答えている人は別の人だが、両方とも曖昧な認識をもたれているといえる。