三川町の方言調査 ふるさとのことば

語彙

「メジョケネ」の使用状況について

国文学科3年 遠藤 理乃

1.はじめに

山形県三川町の「4.メジョケネ(意味:かわいそうだ)」の使用状況を年層別で分析し明らかにする。

2.調査項目(質問内容)

①「メジョケネ」ということばを使いますか。
1.使う  2.意味はわかるが使用しない  3.意味もわからない

④お財布を落としてしまった人に対して、「メジョケネ」と言えますか。
 1.言う   2.言わない

⑤親族を亡くした友達に対して、「メジョケネ」と言えますか。
 1.言う   2.言わない

⑥転んだ子供が自分で自分を慰めるとき、「メジョケネ」と言えますか。
 1.言う   2.言わない

⑦病気になった自分の家のペットに対して、「メジョケネ」と言えますか。
 1.言う   2.言わない

⑧小説の不幸な主人公に対して、「メジョケネ」と言えますか。
 1.言う   2.言わない

3.分析対象データ概要

外住歴の無い方…27人 15歳までに外住歴が無く16歳以上に外住歴の有る方…37人 →以上計64人を対象とした。 質問番号①で「使う」と答えた61人が④~⑧の対象人数である。
若年層(20歳~39歳)16人・中年層(40歳~59歳)24人・高年層(60歳~79歳)23人


図1 年層×④~⑧



 どの年層も⑤、⑦、⑧は「言う」という回答が多い。④は年層によって使用率に違いが出た。高年層の使用率は35%で若年層の約3分の1、中年層の使用率は63%で若年層の約2分の1の割合である。そして⑥のみどの世代も「言わない」という回答が7、8割である。
「言う」という回答が多い中でも④のみ年層で差がある。若年層は使用率が高いが年層が高くなるに連れて使用率が低くなる。方言は若年層よりも高年層の方が触れ合っているので、この結果から年層によって「メジョケネ」を使用する対象が異なることが考えられる。⑤、⑦、⑧と④の違いはかわいそうだと思う度合いにあると考える。人を亡くす、病気になる、不幸になることはこの上なくかわいそうな状態である。④は財布を落とした人であるのでかわいそうな度合いは⑤、⑦、⑧よりも低いと考える。高年層は特にかわいそうな状態の人や動物に対してのみメジョケネを使用し、若年層はかわいそうな状態の人や動物に対してならば度合いに関係なく使用していると考えられる。

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