三川町の方言調査 ふるさとのことば

語彙

「ケナリ」「オッゲ・ウガイ」の使用状況について

国文学科3年 木島 康太

1.はじめに

山形県三川町で使用されている方言語彙の、現在の使用率を調査した。今回扱った語彙は「ケナリ」(うらやましい)と「オッゲ・ウガイ」(多い)の3語である。

2.結果と考察

図1、全体での使用



まず、①「ケナリ」と言うことばを使いますかについての全体の結果である。「使用」は「1、使う」、「理解」は「2、意味はわかるが使わない」、「不理解」は「3、意味もわからない」の意である。61%の人が意味を理解しているある程度、認知されている言葉であると言える。しかし、実際に使用する人は36%に留まっている。 次に②「オッゲ」と言うことばを使いますかについてである。回答した半数の人が「使用」と回答し、「理解」も含めると73%に理解されている語彙だということが分かる。 次に③「ウガイ」と言うことばを使いますかについての全体の結果である。見ての通り、ほとんどの人が「不理解」と回答している。


図2、年層別に見る全体での使用



①ケナリでは、若年層の6割以上が不理解であるのに対し、高年層は9割以上の人が意味を理解している。中年層は6割以上の人が意味を理解しているが、使用している人はほとんどいない。
②オッゲでも若年層の7割ほどが「不理解」と回答したのに対し、高年層は9割以上の人が「使用」と回答した。中年層でも使用する人はほとんどいない。


★「ケナリ」の考察

「ケナリ」は多少、認知度のある三川町の方言だということが分かった(図1)。しかし、「ケナリ」を実際に使用している人は、ほとんどが高年層であり、若年層の実に90%が「意味も分からない」と回答している(図2)。よって、「ケナリ」は将来的に消え行く方言語彙と言えよう。


★「オッゲとウガイ」の考察

図1より「オッゲ」は今なお、三川町で使用されている方言だということが分かった。年代別に見ると、中年層の使用率が高い。しかし、やはり若年層の認知度は低いため「オッゲ」は中高年層で広く使用されている、やはり消え行く方言語彙であると言えるだろう。
「ウガイ」に関しては「使う」と回答した人が1人(図1)。「意味はわかるが使わない」と回答した2人も全員高年層(男性)であった。よって、「ウガイ」は三川町ではほとんど使用されなくなってしまった方言語彙であると言える。
他に「多い」という意味で使用する言語としては「イッペ」と「エッペ」の2語が多くの回答を得た。

3.おわりに

今回の調査で担当した3語は全て、若年層の使用率が低いという結果だった。また、今回の調査を通じて、この3語に限らず、三川町方言を話す人自体が減っているのだろうと感じた。とても残念なことだと思う。

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