東京都23区における自治体の言語サービスの実態

言語サービス

外国人相談窓口

国文学科2年 尾沼侑季

外国人相談窓口の有無

ほとんどの区で外国人の為に相談場所が設けられていた。これは“区役所内での有無”と限定した結果だが、限定しなければさらに増えることが分かった。江戸川区や板橋区では、区役所内ではないものの、区役所近くにある施設に相談窓口を設けている。このように外国人は区役所に行けば、ほとんどの区で何らかの対応を受けることができるのである。

対応言語
  タガログ 西
港区  
新宿区      
文京区        
墨田区        
江東区        
品川区          
目黒区    
大田区        
世田谷区      
中野区        
杉並区        
豊島区        
北区        
練馬区        
足立区      
特徴

1. 外国人相談窓口を設置している全ての区で英語は対応可能。

2. 港区は5ヶ国語に対応しており、他区の多言語状況とは大きく異なっている。
考えられる理由として、港区には大使館や領事館などの駐日外交公館や外資系金融企業の本社が集中して建てられている為、外国人登録者数が多く国籍も様々であり、その中でも欧米系の国籍者が比較的多いことが挙げられる。

3. 目黒区では、他区にはないタガログ語を導入している。
タガログ語を主要言語とするフィリピンは、どの区においても外国人登録者数の多い国上位である。フィリピンでは英語も公用語として使われている為、タガログ語のない他区でも問題はないとは思うが、港区や目黒区のように自身の区の特徴にあったサービスがされていることは、外国人にとっても、我々にとっても良い環境であることは間違いない。

4. 韓国語が導入されているのは、港区と外国人登録者数の多い国に朝鮮・韓国が1位にくる4区であった。
これらの区の背景には、1980以降に来日した在留韓国人「ニューカマー」の増加や韓国・朝鮮系住民の集住地「コリアタウン」の成立が見られる。2006年4月足立区が行った都内初の韓国語対応者の常駐から今まで徐々に増えていることから、朝鮮・韓国人の在住増加に伴い、これからさらに増えていくことが期待される。

まとめ

調査結果をまとめるに当って、各区の外国人登録者の内訳と見比べながら進めた。やはり自身の区に在住する外国人の特徴や傾向に合わせて対応言語を設定している区が多いことが分かった。しかし、外国人登録者の内訳に合った対応言語が十分に設けられていない区があるのも事実である。区役所というのは東京に住む外国人が最初に必ず行く場所であり、東京にまだ慣れていない外国人にとって相談窓口は、とても貴重なサービスであるといえるだろう。外国人にとって住みやすい環境をつくる為にもこのようなサービスは充実したものでなくてはならないと思う。