東京都23区における自治体の言語サービスの実態

刊行物

防災関係

国文学科2年 蓑田実呂

調査項目と調査完了区の報告

調査項目
東京23区の各区役所の言語サービス状況について各区において項目ごとに調査をした。刊行物班では、各区役所が発行している冊子やプリントを対象に、外国語対応しているかを調査した。また、外国語が使用されている場合は、何語が使われているかなど、その区の外国人人口や区の特徴などと照らし合わせながら考察する。

調査完了区
千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・墨田区・江東区・目黒区・大田区・世田谷区・中野区・杉並区・豊島区・北区・板橋区・練馬区・足立区・江戸川区(以上18区)

調査結果

暮らしガイド
調査完了した区での大半が『暮らしガイド』発行している。本の内容は、題名の通りにその区内で生活するために必要なことがらが項目ごとにわかりやすくまとめて書いてある。日本語のみの冊子のものと、英・中・韓と日本語を併記した合本形式のものと、それぞれの言語により分冊されっているものとがあるが、前者のような発刊状態のほうが多い。『暮らしガイド』では、日・英・中・韓以外の言語に対応しているものは確認できなかった。防災に関するものの記載はどの『暮らしガイド』にも存在した。

分冊形式か合本形式であるか。
『暮らしガイド』及びそれ以外の刊行物においてのいずれかが、各言語(英・中・韓)に応じて分冊形式で刊行物を発刊している区は港区・新宿区・墨田区・目黒区・大田区・北区・板橋区・練馬区・足立区9区であり調査対象区の半数に上った。分冊形式で発刊している区は外国人登録者数も多く、各言語での需要が高いからだと思われる。逆に、千代田区・中央区・文京区は外国人登録者数が他の区と比べて少ないためか、全て合本形式であった。しかし、江東区・杉並区・豊島区の3区は分冊形式をとっている9区と外国人登録者数の面では大差はないにもかかわらず、分冊形式をとっているということは、コスト削減のためなのであろうか。

▲防災マップの日本語版と外国語(英・中・韓)版

▲日・英・中・韓・仏5ヶ国語の合本

対応言語について
外国語対応している区でもどこも英語・中国語・韓国語の3ヶ国語あればいいほうである。各区とも中国や韓国・朝鮮に次いで多いはずのフィリピン人向けのものが存在しないのはなぜなのであろうか。その理由は、フィリピンの主要言語が複数あり、一つに統一できないために、発行が困難になっていると思われる。