東京都23区における自治体の言語サービスの実態

刊行物

広報誌の調査

国文学科2年 大谷諒

はじめに 〜調査項目について〜

調査内容と準備
東京23区の区報を集めて何語に対応しているかを調べ、各区の特徴と照らし合わせて検証することである。準備として広報誌チェック表と調査マニュアルを作成し、各区担当者に実際に区役所に行ってもらいどのような広報誌が発行されているか調査してもらった。調査内容は@対応言語・A使用言語別の形式などの広報誌の内容に関する調査である。

広報誌の特徴

    日本語版の特徴
  • すべてが新聞形式
  • 回によって表紙の色が変わる(例:世田谷区・大田区)
  • 外国語が入っているものは無かった
    外国語版の特徴
  • すべての区に外国語版が存在するわけではない
  • 日本語版をそのまま訳したものは見つからなかった
  • 発行頻度は多くて月に1回
  • 区役所の広報課が発行しているものと外国人交流協会などの機関が発行しているものがある(後者の例:板橋区・大田区・北区)

「せたがや」H19.11.1発行
☆世田谷区の外国語版広報誌の例

「SETAGAYA」November1,2007
同日に発行されているが日本語版とは内容が異なる

まとめ 〜外国語版広報誌の少ない理由〜

すべての区に英語版が無い理由は?
少ない人々のために発行する必要があるのかという問題や緊急性という点でも必要とは限らないため。

韓国語版・中国語版が少ない理由は?
在日の方や留学生が多く日本語を理解している人が多いからだと思われる。また、中国語にもいろいろ種類があるためではないかと思う。

フィリピン人向けが無い理由は
各区とも韓国・朝鮮人と中国人についでフィリピン人の人口が多いにもかかわらずどこの区も発行していない。理由としては、フィリピンはフィリピン語(タガログ語)・セブ語・英語・スペイン語など使用言語が多数あり発行しにくい。

調査をしてみて外国語版が少ないことにとても驚いた。また、外国語版がある区でも発行頻度が少なく内容もとても濃いとはいえない。インターネットなどさまざまな情報をすぐに入手できる現代においても紙で区の情報を手に入れることは大切なことだと思う。例えば外国語版広報の中にも観光に関する情報や、紅葉などの自然の情報を伝えている区もあり、各区とももう少し力を入れて有効に使ってもいいのではないかと思った。